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急増する合同会社の設立件数と活用事例

2016.8.25

本日は、今、人気急増中の『合同会社』について、ご紹介しましょう。

 

近年、「合同会社」の設立件数が急増しています。2015年(1月〜12月)に設立された合同会社は2万20153社。2011年の8990社と比べると約2.5倍の設立件数を記録し、実に新設法人の6社に1社が合同会社となっています。

(「東京商工リサーチ」http://www.tsr-net.co.jp/news/analysis/20160602_01.html)                       

 

 実際に、泉司法書士事務所でも、合同会社の設立依頼・ご相談は増えています。

 

この合同会社設立急増の背景には、株式会社に比べて

1)設立コスト、運営コスト面で安い

2)意思決定の迅速さ

3)広い定款自治が認められる  

 

といったメリットが理由として挙げられ、事業を行うにあたり、会社形態として株式会社ではなく合同会社が選択されるケースが増えています。

       

では、現在、日本国内において実際に合同会社はどのようなシーンで利用されているでしょうか。

 

    個人事業者が法人成りをするにあたり、合同会社を設立するケース

 資金調達や節税対策の点から法人格は欲しいけど、設立コストは少しでも抑えたい

小規模企業のスタートアップにもってこいと言えます。また、設立後も合同会社か

ら株式会社への組織変更が可能なので、業績の拡大に伴って将来的に株式会社でき

るという選択肢があるのもメリットです。

 

    外資系企業や大企業が子会社として、合同会社を設立するケース

 合同会社は、株式会社のように株主総会、取締役、取締役会、監査役、監査役会・・・

といった機関を置く必要がなく、また出資者自らが業務執行を行うため、柔軟で素早

い意思決定ができます。この点から経営効率のアップと運営面の簡便さを考慮して

外資系企業や大企業が子会社を設立するにあたり、合同会社を選択するケースが見

受けられます。

   また、株式会社と同様に出資者の責任は有限責任(出資した範囲内でのみ責任を負う)

   のため、万が一日本法人が経営破綻した場合でも本国本社にとってはリスク回避が

   できます。

さらに、合同会社は株式会社と異なり、利益分配や議決権割合について、出資割合に

応じない柔軟な設定が可能、資本金の額に関わらず、内部統制システム構築義務

や会計監査は不要、決算公告も必要ありません。となれば、数ある売上拠点の一つと

して子会社を設立したい外資系企業にとってみれば、その利便性・コスト面を考えれ

ば合同会社を選択するのは納得です。

実際、アップルジャパン、P&Gマックスファクター、西友、ユニバーサルミュージ

ック等、巨大資本をもつグローバル企業が日本での拠点として合同会社を選択してい

るのは有名なところですよね。

 

    資産流動化等のビークル(器)として設立するケース

 資産の流動化や証券化等の特別な目的のために設立される法人を「SPC(Special

Purpose Companyの略)」と呼びますが、その法人形態は合同会社に限られません。

しかし、前記、②で述べたような合同会社の利点(設立・運営が容易でコストが低

い、複雑な機関設計や決算公告を要しない)に加え、合同会社には会社更生法の適

用がないため、担保権が更生担保権とされるリスクを防止でき、この点も合同会社

が多く利用されている理由と言えます。

 

まだまだこの他にも、合同会社の利点・特徴を活かした類型として「合弁会社」「ベンチャー企業」への使途がさらに期待されます。

 

次回はその一つ、「合弁会社」に視点を当てて、実際どう活用できるのか、その仕組みづくりについて触れてみたいと思います。




カテゴリー:会社設立登記,
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