- ・亡くなった家族の遺品や貸金庫の中から遺言書を発見した
- ・生前に遺言者から遺言書を預かっていた
このような場合、遺言書を発見した相続人や保管者は、その遺言書が公正証書以外の遺言書(自筆証書遺言・秘密証書遺言)であるときは、遅滞なく家庭裁判所での検認手続きを行わなければなりません。
これらの遺言書について、検認手続きを経なければ、不動産の登記手続きや預貯金の払戻・解約手続き等を行うことはできません。
特に注意が必要なのは、封印された遺言書については、封印したままの状態で家庭裁判所に持って行き、家庭裁判所で他の相続人等の立会いのもと開封しなければならないことです。中身が気になっても勝手に開けて読んでしまってはいけません。
「検認手続きを経ないで遺言を執行し、又は家庭裁判所以外で遺言書を開封した者は、5万円以下の過料に処する(民法第1005条)」と規定されています。
なにより、遺言書を他の相続人が知らない間に勝手に開封してしまうことで、偽造されたのでは?書き換えられてないか?等と遺言書の効力そのものに疑義が生じてしまいます。
●検認の申立手続き
検認の具体的な申立手続きは以下のとおりです。
- 1.申立できる人
遺言書の保管者又は遺言書を発見した相続人
- 2.申立先
遺言者の最後の住所地(死亡した時点で住民登録されている住所地)の家庭裁判所
※管轄裁判所は、裁判所のHPから確認することができます
3.申立に必要な費用
・遺言書1通につき、収入印紙800円
・連絡用の郵便切手代
- 4.必要書類
・検認申立書
・遺言者の出生〜死亡までの戸籍謄本等一式
・申立人及び相続人全員の戸籍謄本
・遺言書
●検認手続きの流れ
検認手続きの具体的な流れは以下のとおりです。
- 1.家庭裁判所に検認の申立て
- 2.家庭裁判所からの相続人への呼び出し
家庭裁判所から、相続人全員に対し、指定した期日に来るよう通知が来ます。
通知が届いたら、相続人は期日に出席するかどうか回答します。
出席するかどうかは相続人の自由です。 - 3.検認の実施
家庭裁判所で、出席した相続人立会いのもと、遺言書の開封・検認が行われます。
当日、病気や仕事で期日に検認に立ち会えない相続人がいて相続人全員が揃わなかったとしても、検認手続きは実施されます。
- 4.検認済証明書の請求・発行
その後の登記手続きや預貯金の払戻等の遺言執行に必要となる検認済証明書を発行してもらいます。※以上の1〜4までに、約1〜2ヶ月程度の期間を要します。
●留意点
誤解されがちな点として、「検認」とは、「相続人に対し遺言の存在とその内容を知らせるとともに、遺言書の形状や加除訂正の状態、日付、署名など検認の日現在における遺言書の内容を明確にして、遺言書の偽造・変造を防止するための手続」であって、遺言の有効・無効を判断する手続ではない、ということです。
検認を受けたからといって、法的にその遺言が有効であるという証明にはなりません。遺言の有効性を争う場合は、調停や訴訟を申し立てることになります。
遺言書の検認の申立てには、様々な書類を用意しなければならず、ご自身で全て手続きをされるのはなかなか面倒です。
司法書士法人entrust(エントラスト)では、申立に必要な戸籍謄本等の収集から申立書の作成・提出、そして、それ以後の不動産の相続登記手続、預貯金の名義変更・解約手続きといった遺言書に係る遺産承継手続きをトータルしてサポートさせて頂いております。
弊所は、芦屋オフィスと大阪オフィスの2か所にございますが、ご要望がございましたら、どこへでも伺います。
ぜひ一度お気軽にお問合せくださいませ。