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相続開始日から3ヶ月経過すると相続放棄できないの?

2015.2.24

おはようございます!温泉大好き司法書士の泉です。

2週間に1回は温泉に行きたいと思っております。

この週末はどこか遠くにでかけようかな♪

 

さて、今日は「相続放棄」についてお伝えいたします。

テーマは「相続開始日から3ヶ月経過すると相続放棄できないの?」です。

 

まず、大前提として、相続放棄には期限があります。

いつでも自由にできるわけではございません。

法律では以下のように定められています。

【民法第915条第1項】

 相続人は、自己のために相続の開始があったことを知った時から三箇月以内に、相続について、単純若しくは限定の承認又は放棄をしなければならない。ただし、この期間は、利害関係人又は検察官の請求によって、家庭裁判所において、伸長することができる。

 

つまり、相続をする(相続の承認)か、しない(相続放棄)かを決めるための調査期間(「熟慮期間」といいます)を、「自己のために相続の開始があったことを知ったときから3ヶ月」と法律によって定められているのです。

 

ポイントは、「相続開始日から3ヶ月」ではなく、「自己のために相続の開始があったことを知ったときから3ヶ月」だということです。

 

では、この「自己のために相続の開始があったことを知ったとき」とはいつでしょうか。

 

判例はこちら⇒http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=52168

 

最高裁昭和59年4月27日判決(民集38・6・698、判時1116・29)は、

「相続放棄の熟慮期間は、原則として相続開始の原因たる事実及びこれにより自己が相続人となった事実を知った時から起算すべきものであるが、相続人が右各事実を知った場合であっても、右各事実を知ったときから3箇月以内に相続放棄をしないのが、相続財産が全く存在しないと信じたためであり、かつ被相続人の生活歴、被相続人と相続人との間の交際状態その他諸般の状況からみて当該相続人に対し相続財産の有無の調査を期待することが著しく困難な事情があって、被相続人において右のように信ずるについて相当な理由がある場合には、熟慮期間は、相続人が相続財産の全部若しくは一部の存在を認識した時又は通常これを認識しうべき時から起算すべきである。」

と判示しました。

 

ややこしいでしょ?

ややこしいんですよ。

つまりはケースバイケースです。

間違いなく言えるのは、「諦めたらアカン!」ということです。

 

よく、事務所に「インターネットを見て電話したんですけど」と、相続放棄のご相談をいただきます。

しかも、そのうち約半分は「相続開始後3ヶ月経過後の相続放棄」のご相談です。

 

こちらのケースをご覧ください。

『私の両親は、私が幼いころに離婚したため、父とは疎遠の生活をしてきました。父の遺産として住宅と若干の預貯金がありましたが、父と同居して世話をしていた姉に遺産全部を取得させる手続きをすれば良いと考えて、特に相続放棄などはしないまま熟慮期間が経過しました。しかし、最近になって、父が第三者の連帯保証人になっていることが判明し、熟慮期間経過後に多額の保証債務の支払を求められました。相続放棄をすることはできますか。』

 

この場合は、お父さんの相続時に相続財産があることを認識しているので、さきほどの昭和59年の最高裁判所の判決の原則に従うと、熟慮期間を経過していることになりますが、具体的な事情を考慮すると、相続放棄の申述が受理される可能性も十分にある、と言えます。

 

そう、「諦めたらアカン!」の原則です。

 

相続放棄に関しては、このほかにもたくさんの裁判例があります。

日々の勉強は欠かせませんね!

 

今日は以上です。

「諦めたらアカン!」の司法書士の泉でした♪♪

 

PS.今日は、私の大切な大切な友人の不動産のお取引です。

久しくお会いしていなかったのですが、「今度家買うから、登記してくれる?」とご連絡いただきました。

本当に嬉しいです。ありがとうございます!

最高の不動産決済にするぞー!!


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